志らくのピン 7/7

7/7(火)19:00〜21:00?時計みてませんでした〜@内幸町ホール
らく兵 『十徳』
※以下すべて志らく
『代脈』    
『疝気の虫』
仲入り
『たまや』


今回はなんといっても『疝気の虫』です。爆笑しました。


『代脈』 代診を仰せつかる銀南が、志らくさんらしい“いっちゃってるヒト”で可笑しい。きれいなお嬢さんの胸からお腹を触診できると分かって「往診!オーシンツクツク、オーシンツクツク!」と興奮するところとか、医者らしく見えるようにと教えられて、つき袖をして後ろへ“ハイ、ハイ”とやるところとか、いざお嬢さんを触診する段になって、いやらしく笑うなとたしなめられたのを思い出して笑いを我慢するんだけど、結局こらえきれずに不気味に笑っちゃうところとか、顔が完全にいっちゃってます(笑)。こういうキャラクターをやらせたら、志らくさんは余人の追随を許しませんなーw


続いて『疝気の虫』 男の前に小さな小さなヘンテコなイキモノが現われる。一見ゲジゲジみたいで、よく見るとそれは手足。その手足をちょこちょこ動かしてあちこち動き回る虫。男はつかまえようとするが、この虫、機敏でなかなかつかまらない。時々「シャーーッ!」と威嚇するような音をたてる。いきなり飛び上がって男の鼻に張り付いて、なかなか取れない!
志らくさんは、このヘンなイキモノの動きを、口のわきに両手をあてて、指をこちょこちょ細かく動かして演じるのだが、あれですよ、まるでエイリアンの幼虫(あ、虫じゃないから幼獣?)!あれソックリ。


虫は男に、自分は人間の体の中に入ってあちこち引っ張って疝気を起こす“疝気の虫”だと話す。その話し方も、小さいオッサンが話してるみたいで、ひじょーに可笑しい。なんでそんな悪さをするんだ?と咎められると、虫は「本能ですな、本能寺の変…なんて」「くだらないシャレだ」「人間にはうけませんが、これは疝気の虫の一流のシャレです。仲間内では大爆笑」(笑)。


疝気の虫は、うどんは大坂人の食べ物だからイヤで(大坂人のお腹にいる虫は可哀そう!…と虫は泣くw)、ラーメンは脂っこくてイヤで(「『な××××××ん』は主人の了見がいやです」w)、蕎麦が大好き。で、唐辛子が苦手。「唐辛子が体につくと、そこから壊死してしまいます…頭の中の壊死ゴム!」「疝気の虫一流のシャレだな」(笑)。
「唐辛子がつくと爆ぜちゃうヤツなんかもいます。それから、疝気の虫には絶対水をかけないで下さい」「どっかで聞いたことあるな」w


そこで虫は消えてしまい、男は目が覚める。どうやら夢を見ていたよう。すると、女中が男を呼ぶ声が…「銀南!銀南!」。この男、『代脈』の銀南でした(笑)。主人が疝気を起こしたので診て欲しいと、お店の番頭が先生を迎えにきているが、先生は不在。それを聞いた銀南、女中が「この間、大騒ぎになったじゃありませんか!」ととめるのも聞かずに往診に出かける。
奥さんにお蕎麦を食べさせ、蕎麦の匂いのする息を旦那に吹きかけると、お腹の中の疝気の虫が口のほうへ昇っていき、次々に旦那の口から出てくる。虫が上へ上へと昇っていくところ、口からわらわらでてくるところ、その様子がSF映画チックですごく面白かった。
旦那の体内から出てきたたくさんの疝気の虫。一匹一匹つかまえて唐辛子の入った水につけようとするが、怖がった番頭が桶の水を撒いてしまう。すると疝気の虫がぶわーっと増えてしまい、座敷中疝気の虫だらけ!(笑)。ギズモかw


座敷いっぱいの疝気の虫は集まって、まるで蛇のようになって奥さんの口から体内に入っていく。奥さんの体に入った虫達は、大喜びで蕎麦を食べて暴れ始める。手づかみで蕎麦をガツガツ食べたり、仲間同士で「シャーーーッ!」と威嚇しあったり、もう大騒ぎ。映画『グレムリン』のようで大笑いしちゃいました。


奥さんが唐辛子の入った水を飲む。サゲは、隠れる場所がなく、体に唐辛子がついてしまった虫がパンッ!と爆ぜておしまい。
シネマチックなナマナマしさと噺本来のバカバカしさが融合した、サイコーに面白い『疝気の虫』でした。


『たまや』 前回これを聞いたのは2007年7/5の立川流同期会で、なんと2年ぶりであった。しかも、前回まったくメモをとってなくて細かいところを覚えてない、なのでどこが変わったのかよく分からないんだけど(…余談ですが、こういうことがあるからメモは録ったほうがいいよなぁと思っております、自分は)、一段とテンポがよくなって、ホロリとさせるところもだいぶあっさりしたような印象だった。でも、ラストの両国の花火大会の夜、おたまちゃんと由蔵(辰吉の生まれ変わり)が出会うシーンは、やっぱりいいなぁ。おたまちゃんは相変わらず可憐だ(いっちゃってるヒトも上手いが、可憐な女の子をやらせても志らくさんは上手いなぁ)、もう辰吉の記憶は失くしている由蔵が「アウ!アウ!アウーー!!」と鼻をこすりあげるところで、今まで笑っていたのにふいにジーンとこみあげてしまいました。前観た時は、このあたり、もう涙とまらなかったなぁ。


それにしても『疝気の虫』!これを観てしまった自分は、もうフツウの『疝気の虫』では笑えないかもしれませんw