2011年1月の落語



今年初の記事になります。
(今頃になって申し上げにくいのですが…)今年もよろしくお願いします。
1月は8つの落語会に行きました。


1/5(水)
志らくのピン
19:00〜21:10@内幸町ホール
らく次『夢の酒』
志らく初天神
志らく『大工調べ』
仲入り
志らく『寝床』
『大工調べ』の啖呵はハラハラしたw 全然言えてなくてただのめちゃめちゃ早口なんだもの。
でも、『初天神』は凄かったね。
何かが降りたのか憑いたのか、金坊が暴走!
父親よりも物知りのお利口な金坊がアレ買ってコレ買ってとねだるところで、激しくヘンなキャラクターに変貌!
「団子買ってくだしゃ〜い」って哀れを装おうとするあまり、物乞いのくしゃくしゃ爺さんみたいになっちゃう、そして、そのキャラが戻らない!
志らく師はマクラで、昨年末に日光のある温泉旅館を訪れ、その受付の男性がノートルダムのせむし男みたいな怪しいヒトだったって話をしたんだけど、団子買ってくださいの金坊には、その怪しいヒトのメージが重なってたのかもしれない。
「買ってくれないとタコチュウチュウ人間になっちゃう」「花開くゴリラになっちゃう」その顔と仕草がすっごく可笑しい。
志らくさんのクレイジー落語は、近頃顔芸の方向に走っておりますね。


1/6(木)
志の輔らくご in PARCO
18:30〜21:27@パルコ劇場
※全て志の輔師匠
『だくだく』
『ガラガラ』
仲入り
『大河への道』
伊能忠敬を講談とも落語ともつかないオリジナルの話芸で語った『大河への道』が印象的だった。
詳しくは朝日新聞・篠崎氏の記事をどうぞ。結びの言葉に納得。


1/11(火)
こしらの集い
19:00〜20:56@お江戸日本橋亭
マクラ(小学校教科書電子書籍化のお仕事〜立川流新年会で談春師匠に…〜志らく一門新年会)『天災』
中入り
『こしら版ロミオとジュリエット 小言杢兵衛長屋』
『小言杢兵衛長屋』(小言幸兵衛)が傑作。何故“幸兵衛”じゃなく“杢兵衛”なのかというと、そもそもこしらさんは『小言幸兵衛』という演題を忘れていた(やる前「たしかタイトルに“長屋”がついてます」とか言っていたw)うえに、噺の途中で幸兵衛が杢兵衛に変わっちゃったからだ。
仕立て屋に未婚の息子がいると聞いた幸兵衛が、息子と向いの娘みい坊の出会いから道行きまでを妄想するところがありますね?こしら版では、杢兵衛(幸兵衛)は、仕立て屋の息子とみい坊が仮面舞踏会で出会うという妄想をしますw「みぃちゃん、僕は君への変わらぬ愛をあの月に誓う」「やめて。月は夜毎かたちを変える不実者」。そうなの、ロミオとジュリエットなの、この二人。杢兵衛お前の息子の名前はなんだ?」仕立て屋「はい、山田ロミです」。
で、みい坊は一人娘なのに、杢兵衛の妄想の中ではいつの間にか兄がいるのよね(なんでだよ?だったら嫁にいけるじゃん!…というツッコむのも虚しいw)。
兄の名前はマキューシオ(ロミオの親友の名前)。この名前が出てくるのに、なんで「幸兵衛」が出てこないんだろう?…ということも含めて、トンチンカンがどこまでマジでどこまで計算だかつかめないのだ、立川こしらは。


1/12(水)
松雄貴史のオススメ落語会vol.2
18:15〜21:13@渋谷区文化総合センター大和田 伝承ホール
開口一番 柳亭市也『牛ほめ』
春風亭一之輔『あくび指南』
柳家花緑『笠碁』
仲入り 
立川生志『井戸の茶碗
春風亭昇太花筏 
ちょうど今日(2/3)からBS12chで始まる『松尾貴史の落語BAR〜sideA&sideB〜』の番組収録の落語会(ちなみに今日の放送分は昨年末にぎわい座で収録したものです)。
会場は内幸町ホールをもう少し大きくした感じ。改装して最近色々な催しに使われだしたとのことですが、なんだか空間が落語に馴染んでなくてよそよそしかった。ま、そのうち落語にしっくりする会場になるでしょう。ちなみに志らくのピンも4月からこの会場になります。
あ、高座はどなたも良かったです。


1/17(月)
月例三三独演新春特別公演
19:00〜21:10@国立演芸場
柳家三三『道灌』
旭堂南湖 講談『柳田格之進』
仲入り
三三『文七元結
久しぶりに三三さんの文七を聴いた。以前聴いた時は談春師の影響?と感じるところがあったり、熱演が似合わないなぁと感じたり、まぁそんなに好きではなかった、三三さんの文七は。今回は「泣かせよう」という意図が感じられず、笑いを誘うところが多々あり、好ましかった。
お土産は来場者全員に特製三三チロルチョコひと粒。食べるの勿体無いと思ったけど、既に食べちゃってもうありません。月例の会場で詰め合わせを売ってくれるといいな。


1/18(火)
立川談志の会
18:30〜20:35@紀伊國屋ホール
立川平林『平林』
松元ヒロ スタンダップコメディ 
立川談笑『片棒・改』
仲入り 
立川談志『羽団扇』〜落語チャンチャカチャン
一月(正月)ということで『羽団扇』だったのかもしれません。わたしは初めて聴いたけど、古くからの家元ファンの友人も「久しぶりに聴いた」と喜んでいた。
わたしは行けなかったけど、この会の後の談志一門会(25日)では『子別れ』を通しでなさった。これも久々の口演だったという。
「最近の家元の高座は体にしみこんでいる名人の芸を自らの身体を通して再現しているように見える」。これは落語つながりのマイミクの言葉。
今年はできるだけ家元が出演する会に行きたい。


1/27(木)
真一文字の会
19:30〜21:29 @内幸町ホール
開口一番 春風亭一力『子ほめ』
※以下、すべて春風亭一之輔
『普段の袴』
『味噌蔵』
仲入り
『宿屋の富』
今年初の勉強会。会場も日暮里サニーホールから内幸町ホールに変わり、自由席から指定席へ。もう席とりに並ばなくていいって嬉しいw でも、会場が大きくなっていくっていうのは応援する者としても嬉しい。内幸町ホールのちょっと堅い雰囲気に慣れないせいか、この日ははじけ方もほどほどだったかな。でも気持ちいい三席でした。


1/31(月)
道玄坂落語会 白酒初春の会
20:00〜22:02@Mt.RAINIER HALL
開口一番 林家扇『寿限無
桃月庵白酒『お見立て』
柳家喜多八『やかんなめ』
仲入り
桃月庵白酒『寝床』
場所は渋谷の道玄坂。会場は映画館を改装したライブハウス。入場した時は、なんだか落語にむかないなぁと感じた。
この会、会場の性質上そうせざるを得ないのか、ワンドリンク制。わたしは寝ちゃったり途中でお手洗いに行きたくなったりするのがイヤだから、基本落語の途中ではお酒は飲まないし水分もあんまり摂らないので、こういうのはいらない。そういう落語ファン、けっこういると思うけどな。それに、お酒飲むのはいいとして、なにしろ映画館のずらっとお行儀よく並んだ席で飲むわけですから、全然雰囲気がないw 
…というような不満を抱いていたのですが、始まってみたらとっても楽しいおとなの落語会で、おおいに満足して帰途についた。
なにしろ喜多八&白酒だから。二人揃ったらやっぱこれだ“毒とエロ”w。
白酒師のマクラなんか、ホントにお下品(牛久のキャバ嬢、立ち…あぁもう書けない)で、ガハハと品悪く笑って盛大にデトックスした。
二席とも良かったけど『寝床』が良かった。白酒師の寝床には、旦那が繁蔵に「そこをなんとか(機嫌を直して義太夫をやってください)」といわせたいんだけど、繁蔵に散々じらされる…というところがあって、その二人のやりとりがほんっとに可笑しかった。
そして喜多八師匠の『やかんなめ』!あれはもう、ひとつの「至芸」ですね。「よくぞ、みどもを、呼び止めたー!」ってフシをつけた甲高い声が、帰る途中に蘇ってニヤニヤしてしまいました。




こうしてみると、今まで落語と無縁な場所(ホール)で落語会が開かれるというケースがぽつぽつ増えているような気がします。落語は箱にも影響されるから、会の雰囲気が変わる可能性もありますよね。ピンは会場変わってどんな感じになるかなぁ。それから、談春喬太郎人気も一時より落ち着いてきた気がする。客は動いているよ。
落語を聞きだしてから少しは月日が経って、最近は正直新鮮な驚きや感動は減っている落語ですが、少しずつ変わっているのだなと感じた1月でした。