7月の落語



7月は忙しくて1ヵ月ぶりの更新になってしまいました。すいません。
しかも、既にほとんど忘却の彼方です。
ま、とりあえず7月をさくっと振り返ってみよー。
忙しいといいながら、それでも11回出かけてました(恥)。 


7/1(木)
1日NO百栄落語会
19:00〜20:54@巣鴨スタジオFOUR
百栄『大山詣り
三遊亭ぬう生『選挙ホスト』
仲入り
百栄『鼻ほしい』〜女子アナインタビュー〜『マイクパフォーマンス』〜『寿司屋水滸伝
百栄師匠は、この会では「ほぼネタおろし」「しばらくやってない古典」「新作」の3本をかけるつもりと言っていましたが、『大山詣り』は「ほぼネタおろし」だったのかしら。冒頭にクマさんが出てきません、帰り道、宿で一騒動起こるあたりから普通の大山詣りになります。


『鼻ほしい』は「しばらくやってない古典」なのかな。この噺はやる人少ないですよね。オチは「口惜しい」「わしゃ鼻欲しい」というどーしようもない駄洒落。百栄師のはなかなか面白かったです。「山、ふぁふぁひぃが故に、ふぁっとからず」(山高きが故に尊からず)は可愛かった。


今日(8/1)はこの会の最終回だったのですが、わたしは伺えませんでした。ちと悔やまれる。


7/2(金)
こしらの集い
19:00〜20:55@お江戸日本橋亭
爆笑マクラ
船徳
仲入り
『抜け雀』
わたしの中には「毎月1回はひとり会に行きたい落語家」というのがいて、その数はそんなに多くはありません。その中にはもちろん、志らく師、喬太郎師、志の輔師、昇太師(喬太郎、昇太は毎月の定例会はないけど…)あたりが入っているのですが、最近のベスト3は「1.立川こしら」「2.春風亭一之輔」「3.桃月庵白酒」という感じになってます。この3位の中での順位は時々入れ替わるのですが、1〜3位の顔ぶれはずっと同じでこの3人です。
特に「こしらの集い」は楽しみでしょーがありません。


なんども言ってる気がしますが、今のところ、こしらさんの落語はけっして万人に理解されるものではないと思います。でも、わたしにとっては、こんなにユニークで面白い落語はちょっと他にないんだなぁ。いろんな落語を聴いてフツーの落語で素直に笑えなくなってる…くらいの人にお薦めしたいです。


この日も爆笑であった。
マクラの「皆さん、圓生なんて知らないでしょ?…え?知ってる?僕なんか“なに家”圓生かも知りませんよ」という発言に、また、『船徳』の「棹は三年、艪は…なんとか」に驚愕&爆笑する客席。『抜け雀』だって“駕籠かき”の仕込み一切なしだw 落語の一般常識を知らなさ過ぎる!が、落語の常識を軽やかに超えて、しかもちゃんと可笑しいってのが素敵だ、こしらさんの落語は。だけど、どこまでがホントの無知で、どこまでが計算なのか?そのあたり、なかなか読みきれないのも魅力のひとつではあるな。


7/4(日)
第137回志らく一門会
18:30〜20:42@上野広小路亭
らく太『浮世根問』
志ら乃ちりとてちん
志らべ『お化け長屋』
仲入り
こしら『だくだく』
志らく崇徳院
わたしは、基本、志らく一門会は滅多に行かなくて、行くのは志らく師匠がネタだししてる時とこしらさんが出演してる時くらいです。この回はこしらさんが出演してるから行ったのですが、この日は開場を待つ間に強い雨が降ったりしたにも関わらず、大盛況でした。ひょっとしてじわじわ来てるのか、こしらバブル?いや、バブルにしちゃいかん!


こしらさん、登場。
マクラは師匠・志らく師のお芝居でパンフレットづくりをしたという話から。「どうです?僕、なんでもできるんですよ。…言っちゃダメ!“落語以外は”とか!」ww
『だくだく』、この日も面白かったー。 でも、こしらさんの落語の面白さを伝えるのは、ホントに難しいんだよなぁ。


「ね?目が死ぬでしょ」
「クライアントの言うことを聞かないで、アーティストぶってるから客がこないんですよ!」
「めんどくさいな!」(ご隠居)
「近視で乱視で近目。…あれ、近視と近目は同じですか?」
「うーん、今日は魔日だなぁ。ちっとも釣れないよ」〜「お!キター!」〜「釣れましたー!」
「時計合わせてるよ!」
「猫がオレを助けたつもり!」「猫は猫舌!鉄瓶のお湯をかけたつもり!」
「うわー、オレ泳げないんだよ」「そこは泳げるつもりでいーんじゃねーの?!」
「びゅーんと腕が伸びたつもり!」「腕かよ?!」
・・・とりあえず、この日のメモの抜粋だけでお許し下さい。


今わたしは、落友から噂を聞いた、こしら『青菜』が聴きたくてたまりません。
旦那を真似た植木屋のセリフに「これは鯉のあらいというものだ、スミスでおあがり」ってのがあるって聞いて、それだけで大笑いしてしまったのであった。
「スミスでおあがり」、もう頭にこびりついて離れません。すげーー聴きたい!


7/5(月)
志の輔らくご ビギン・ザ・ビギン
15:00〜17:41@ル・テアトル銀座
『こぶとり爺さん』
鉄九郎&?(ごめんなさい、誰だっけ?)長唄三味線
『猫忠』
仲入り
『しかばねの行方』
『こぶとり爺さん』と『猫忠』は、どちらもこの会以前に今年巣鴨で聴いていました。
『こぶとり爺さん』は5年ぶりにやったそうで、中味はかなり作り直されていた。以前は、ある家族と日本の昔話『こぶとり爺さん』に疑問を持ったフランス人とのやりとりだったが(わたしも前にパルコで聴いた、たしか)、今回は八っつぁんとご隠居のやりとりに変えて作り直してみたそうです。


『猫忠』
普通の『猫忠』は、猫は兄貴に化けてお師匠さんを騙すんだけど、志の輔師はその設定には抵抗がある人が多いだろうと思ったのでしょう、猫のきょうだい(オスとメスかしらね?)がお師匠さんと兄貴に化けるという設定。


『しかばねの行方』は東野圭吾の短編小説を落語にしたもので、15年前の作品。これも何年か前のパルコで観たな。
今回は、高座に釈台を置き、場面転換で張扇を使ったりして落語に講談(っぽい語り)を取り入れた演出。
高座の後ろに布を吊ったセットがあって、この布の一枚が捲くれてセンターから志の輔師が登場した。終わった後は、やはりここから退場したのですが、立ち上がって背中を向けると、志の輔師の背中に庖丁がささっていたw(噺には、背中に庖丁が刺さった死体が登場する。殺人事件のせいで町内の地価が落ちるのを恐れた住人達はこの死体をこっそり始末しようとし、しかばねの始末をめぐって事件が起きる)。
この演出は、どうやら地方公演でやったことがあるらしい。
ロビーも舞台のセットも演出も、「お正月パルコをちょびっと小規模にしてみました」みたいな公演であった。


7/6(火)
志らくのピン
19:00〜21:20@内幸町ホール
らく次『湯屋番』
志らく粗忽の釘
 〃 『小言幸兵衛』
仲入り
志らく『品川心中』(通し)
芝居明けなのでいつもの志らく落語に比べたら本調子とはいえなかったけど、志らく師の気持ちはちゃんと落語にむいていて、落語復帰の第一歩という印象でした。


この日は『粗忽の釘』が面白かったかな。
「この噺は『堀の内』のエピソード1」なのだそーです。
『堀の内』は夫婦の間に子供がいる、『粗忽の釘』はその子が生まれる前の夫婦を描いている、と。
だから、夫・大工の熊さんだけじゃなく、おかみさんも十分ヘンです。くっだらない駄洒落で大笑いするおかみさん。
肩がこった熊さんは、自分で自分の肩をたたくのだけど、肩に手が届かなくて、「うっほ、うっほ」ってゴリラが胸を叩いてるみたくなっちゃう。それをおかみさんもマネする。バカ夫婦です。
サゲは、この間ピンでやった『堀の内』同様、アメリカンニューシネマみたいに映像的にバッサリ終わらせる。
「毎朝、ここにホウキをかけに来なくちゃならねぇ」…で下げずに、隣で女房が「ウッホ、ウッホ」と胸を叩いてて、それでお終いw
志らく師は、このやり方はどこでもウケるというオチじゃないから、多分ピンでしかやりませんと言っていた。


7/14(水)
白酒ひとり
19:00〜21:00@内幸町ホール
柳家花いち『元犬』
桃月庵白酒『宗論』
 〃   『松曳き』
仲入り
白酒『不動坊火焔』
もし落語をそんなに聞いたことがなくて、「落語でとにかく笑いたい」っていう人に「落語に連れてって」と頼まれたら、いまだったら白酒師に連れて行ってあげたいと思う。そのくらい、最近の白酒師は面白いな。
三席とも面白かったけど、この日は特に仲入り前の『宗論』『松曳き』がはじけてましたね。マクラも凄かったし。いつもに増して毒々しかった。なにかヤなことあったんだろうかね?w


鉄板の『宗論』『松曳き』は言うに及ばず、初めて聴いた白酒『不動坊火焔』も、おっかしかったなぁ。
まず、おたきさんとの会話を妄想する吉兵衛。これがとにかく可笑しい。
それから、鉄つぁんは“色が黒い”という設定ですが、屋根の上で皆がアルコール(あんころ)を買いに行った万さんを待ちながら待機してるところあるじゃないですか、あそこで徳さんがふと「鉄つぁん?」って姿を探すのです、すると鉄つぁん「いるよ」、徳さん「見えなかった、黒いから」w
この“色の黒い鉄つぁんが見えない”というのが何回も繰り返されるのだけど、やたらおかしかった。
それと噺家の幽霊。へっついの上に降ろされるところ、下に降ろされ過ぎてへっついに腰掛けるかたちになっちゃった噺家「もっと上です!へっついの妖精みたくなってます」。大きな白酒師が“へっついの妖精”みたくなってるっていうのがおかしくて、ここは妙にツボにはまってしまいました。


7/19(月)
巣鴨四丁目落語会 昼の部
13:00〜15:45@スタジオFOUR
志の春『かぼちゃ屋
キウイ『反対俥』
志の輔『千両みかん』
仲入り
あべあきら 歌とギター(「猫畑」「ちょこっと仮面」)
志の輔『もう半分』
『もう半分』が良かった。聴き入っちゃった。
普通の人がついふらっと誘惑に負ける状況や悪いことを正当化していく様は、可笑しく、またいかにもよくありそうな感じ。だから怖い。
「おじいさん、(この50両に)縁がないんじゃないかねぇ」
「おじいさん、(50両は)いらないんじゃないかい?」
「黙って借りよう。100両にして返そう」
「おじいさんのものじゃないかもしれない」
「落ちてたんじゃないのかい?」
…とめちゃめちゃな理屈で亭主を説得しようとする女房は、最後には50両があれば店が出せる、店を出そう!と激しく夫に詰め寄る。「一生ここかい?ここに住むのかい?」「あたしはイヤだよ!」「おじいさんには“なかった”と言っておくれ!」
で、亭主も女房の剣幕に負けてしまう。
この過程を丁寧にやっていた印象。このあたりはちょっと身を乗り出す感じになった。


最後も怖いんだよねぇ。
赤ちゃんがさ、寝ている父親(亭主)の口に小さな手をかざして、寝ているかどうか確かめるの。この絵、想像すると、すごーーく怖い!


7/20(火)
らくごカフェに火曜会
19:30〜21:31@らくごカフェ
春風亭一之輔 『のめる』
三遊亭天どん 『セミの声』
仲入り
三遊亭 天どん 『すいか泥棒』
春風亭一之輔 『青菜』
一之輔さんの二席、わたしは『のめる』が良かったな。
「つまらねぇ」が口癖の建具屋の半ちゃん、大根100本詰まろうかね?作戦を見破って、八つぁんから一円をせしめる。その後で半ちゃんが八公んちを訪れて何気なく言うセリフ、「悪かったね、さっきは」。ひじょーに些細なことですが、その言い方がホントにさりげなく、ぶっきらぼうでよかった。このセリフで、半ちゃん・八五郎・ご隠居の人間関係(みんな仲良し)が分かって、ほのぼのする。ほんの僅かなこと・細部から、噺の世界がイキイキと輝きだす…というのを感じた瞬間であった。


7/22(木)
柳家三三・ナオユキふたりぽっち
19:30〜21:33@北沢タウンホール
柳家三三 『のめる』
ナオユキ 酔っぱらいの話
仲入り
ナオユキ 酔っぱらいの話2
柳家三三 『三味線栗毛』
“(声を)張らない”ふたりの会w 三三さんは、この二人だったら自分がテンション高めの役割を引き受けるしかないって言ってたけど、どのくらいのテンションの高さでいけばいいのか迷ったのかしら?迷いが落語に出たって感じw いや、もちろん悪くはなかったけど。
オープニングトークで、珍しい三三さんの私服姿を観られたのがラッキーだったかなw


7/27(火)
落語協会特選会 二つ目勉強会
18:00〜@池袋演芸場 ※途中入場&仲入りで退出

春風亭一之輔 『短命』
柳家小権太 『百川』

一之輔さんの『短命』を聴きたくて、しかし遅刻してマクラの途中で入場。約束があったので仲入りで退出。ホントに一之輔さんを聴くためだけに行ったようなものであった。『短命』、八っつぁんが若旦那達の死の真相に気づくまでがやや長め。面白かったけど、「面白くしよう!」って感じがちょっとしないでもなかった…かな?すいません、えらそうに。でも、一席聴くためだけに行ったんだから許してちょ。


7/31(土)
橘家文左衛門独演会
18:00〜20:26@六本木ホールDOZ
『のめる』
ちりとてちん
仲入り
文七元結
西麻布にある小さな会場。これからここでいろんな落語会が開かれるそうですが、その杮落としが文左衛門師匠の独演会。
文左衛門師匠のひとり会ってたいてい2時間以内に終わるのに、今回は珍しく2時間半。最後はお得意の文七。楽しい会でした。




さて反省。このブログのことなんですけどね。
ライブに行ったら、終わった後メモ代わりにTwitterに演目とほんのひとことふたことの感想をつぶっておりまして、その後、時間がある時にTwitterとかメモを見ながらmixiに自分用の備忘録をつけて、更にその後半月ごとの落語活動をここでソーカツする…というのがここしばらくの流れでありました。ところが最近、Twitterだけで済ませちゃってるんですよねぇ…と言い訳です。人は易きに流れます、ほんとに。
ただ、落語ライブに通うようになって6年目、落語熱がちょっと落ち着いたのかもしれないなと思う。前よりも、あーでもない・こーでもないと考えることが減りました。いちばん言いたいことをTwitterで言っちゃうとそれでスッキリしてしまえる自分がおります。


もっとも、これからも落語とはずっと付き合っていくつもり。
落語にハマるまで、わたしはあんまり何かに夢中になるってことがなくて、よく言えばクールにw、平たく言えば退屈に生きてきたのですが、そういう自分を変えたのが落語であった。そして、その入り口が春風亭昇太であります。だから、落語と昇太師匠は、これからも自分の中でかなり大事なものであることには変わりはありません。
ともかく。落ち着いて、そしたらやっぱり何かが変わるんだろうな。変えたいという気持ちもちょっとある、自分に。落語とどう付き合うか、ブログをどう続けるか、ちょっと考えないとなぁと思っています。


ううむ、マジメなことを書いてしまった。すいません。次回またお会いしましょー(いちおー次回はあるつもりだ)。