この1ヵ月(8月後半〜9月前半)の落語



気づいたら1ヵ月も更新しておりませんでしたよ。申し訳ありません。
ブログを書く時間はなかったけど、ライブにだけは行っておりましたのよ。
ということで、この1ヵ月間に行った落語会をひとことメモと共に一挙にアップだー


8/16(日)
黒門亭 怪談噺特集2
15:00〜17:03@落語協会二階
開口一番 林家扇 『元犬』
古今亭志ん八 『お菊の皿
柳家小ゑん 『腕がニュウ』
仲入り
宝井琴調 『牡丹灯篭 お札はがし』
今となっては懐かしい夏のこの頃、BGMに先代正蔵師匠の『牡丹灯篭』を流しながら仕事しておりました。あの震える声で「ちゃんちゃら可笑しいよ、カナで書くてえと、ち・や・ん・ち・や・ら〜」なんて古式ゆかしいギャグを聴くと心やすらぎます。 ああいう感じの怪談をライブで聴きたいなぁ。講談の怪談は、先代正蔵になんとなく通じるテイストがあるような気がして、黒門亭で琴調先生が『お札はがし』をかけるというので、行ってみた会でした。


8/17(月)
春風亭昇太独演会オレスタイル
19:00〜21:17@紀伊國屋サザンシアター
立川生志 『反対俥』
※以下すべて昇太師
『看板のピン』
『そば清』
仲入り
『宿屋の仇討ち』
「わたしの落語は上澄みだけ観てくれればいいんです、奥の方にはなーんにもありま
せん!」by昇太
上澄み古典3席は、いつものようにステキに軽く楽しかったです。


昇太さんの『看板のピン』は初めて聞いた。かつて博徒だった隠居の振舞いを見て「く〜っ!カッコイー!」と感心してマネする男は、昇太『時そば』の弟分みたいな感じ…って言ったら分かる人には分かりますね?


『そば清』は昨年6月の昇太&雀々二人会以来。あの時は「そばが羽織を着ておりました」のサゲのセリフをど忘れしたのだった、昇太師。「キメ台詞が苦手」なんだそうです。今回は大丈夫かな?と心配して見守っておりましたが、ちゃんと言えましたよ、よかった、よかった。

昇太さんのそば清は「どうも〜!」っていうのがない。そばの食べ方がサイコーにキ●ガイだ。ズルルルッ!ズルルルッ!ズルルルッ!…と恐ろしいスピードでそばをすすっていって、最後の一枚になると、わざとらしく「食べられるかなぁ?」とカワイコぶって小首をかしげてニヤっと笑う。その様子が可愛らしくもヤ〜な感じで可笑しい。
かけ金があがってくにつれて、ズルルルッ!ハハハハ!ズルルルッ!ハハハハ!…と笑いながら何かに憑かれたようにそばをすするのだ、そば清。こういうイっちゃってるヒトをやらせると、日本一ですね、昇太師は。
(しかし、つい昨日、昇太・そば清に勝るとも劣らないクレージーなそば清を観た。志らく・そば清でありますw イっちゃってる度は甲乙つけがたいです)


昇太師はしばらく前から、自分がやりたい噺をやるんじゃなくて、人に「何やったらいいかな?」って聞いて、「これやったら?」って言われた噺をやるようにしてる。『宿屋の仇討ち』は、そんな風に生志師に勧められたネタ下ろし。この日は初日だったんで、正真正銘ネタ下ろしだった。
「昨夜は相州小田原、大久保加賀様のご領分にて〜親子の巡礼が泣くやら、相撲取りがいびきをかくやら、とんと寝かしおらん!・・・」とゆー例のセリフ、大丈夫か?と案じておりましたが、予想通りカミカミであった。ま、昇太師の場合はかむとかかまないとかはどーでもよろしい。
昇太師は、どんな噺でも、力技でもって登場人物を自分の得意なキャラクターにしてのける。この噺では、井八と万事世話九郎を、追い詰められてどんどんテンションがあがっていくヒトにしていました。二人とも、ずーっと泣きながら叫んでいますw
昇太さんの万事世話九郎は、いかめしいお侍ではなくて、癇が強そうであんまり強くなさそう。そういうお侍が、隣の大騒ぎにどんどんイライラをつのらせて、半泣きで井八を呼んで、呼ばれた井八も「もぉ〜〜ッ!」と泣きながら謝ってる。それが可笑しい。


それから、昇太さんの『宿屋の仇討ち』には、三人組が部屋で騒ぐところで“怪談”をして騒ぐという場面があります。最初に芸者をあげてドンチャン騒ぎ、その後で“お相撲”の一幕があって、次に怖い噺をしあって騒いで、最後に“色事師は源ちゃん”になります。これは“三回”繰り返すのが常套だから、もう一回くらいやってもいいなと思って入れたそうです。


あと、好きだったのは、三人が「海に千年、山に千年、里に千年という、ババア芸者を呼んで来い!」って注文すると、ホントーにヨレヨレのお婆さん芸者三人が「こ〜んばんわぁ〜〜」とやってきたところ。 笑っちゃった。


8/19(水)
志の輔らくごin下北沢 牡丹灯篭2009
19:00〜21:57@本多劇場
夏の恒例、志の輔牡丹灯篭』。 聴く前は「4回目だからさすがに飽きるかな?」とちょっとだけ思ったけど、まったく杞憂でした。


今年はひとつひとつのエピソードがだいぶ短くなっているような気がしました。それなのに3時間近くもかかるのは、一つ一つのシーンを丁寧にやっていて全体にテンポがゆったりとしているからじゃないか?と思いました。去年までは、聴いていて「あ、ちょっと急いでるな」「慌ててるのかな?」と感じるところがあったのですが、今年はまったく落ち着いていて、こちらもゆったりと聴いていられました。
それでいて、緊迫感のある場面・シリアスな場面と、笑わせたりホッと息を抜かせる場面の緩急がますますシャープになっている印象。
例えば、「お札はがし」にあたるパートで、白翁堂勇斎が女の声がする新三郎宅を覗き見てゾッとする場面から、「この新三郎の隣に…」と伴蔵・おみね夫婦のエピソードに移るところ。声の高さや調子をサッと変えて、緊張感を瞬時に緩めた。また、山本志丈の口癖「だよねぇー!」は、言い方・間がますます絶妙になっていて、ここぞ!という時に効果的に使っているという感じでした。


また、あまり“怖さ”を強調しないようにしたのかしら?と思った(怖さといっても、志の輔師の『牡丹灯篭』の怖さは、いわゆる“怪談”の怖さではなく、“人間の怖さ”を描いているのですが…)。例えば、栗橋宿の伴蔵の店で奉公人・おもとにおみねが憑依し、伴蔵の悪事を暴露するシーン。以前は、具合が悪くて横になっていたおもとが、ふいにぴょん!と布団の上に座って、甲高い声で伴蔵の悪事を言い立てた。この演出は怖くてわたしは好きだったんだけど、今回は、おもとの傍らに座った山本志丈の「…どうしたんだい?具合、よくなったのかい?」という台詞や視線の動きで、ゆっくりと起き上がり、布団の上に座りなおすおもとの動作が見えてくるるような演出だった。
おもとは「お久しぶりでございます」と山本志丈に挨拶し、一点を見据えたような目つきで、ゆっくりと「七日前、わたしはこの男に殺されました」と言う・・・
でも、これはこれでじわーっと怖くなってくる感じでした。


最後のシーンは何回観ても感動的。憂歌団の『胸が痛い』が流れ始めると、毎年のことなのに、いつもちょっとだけ泣きそうになります。
・・・ところで、このラストで毎年思うんですが、みんな拍手するの早すぎませんか。憂歌団の、あのハスキーな歌声を静かに聴きながら、長い長い物語を振り返りたくないですか、皆さんは?(…そう思うのは自分だけなのかなぁ)
あそこでみんなが盛大に拍手するから、歌声がよく聞こえなくて、いつもちょっと残念なのだった。志の輔師が再登場するまで、拍手はナシってことにしない?…っていつも思います。


8/20(木)
志らくのピン
19:00〜21:05
開口一番 志ら乃 『火焔太鼓』
※以下、志らく
『猫久』
『転失気』
仲入り
文七元結
『演劇らくご〜鉄拐〜』の千秋楽をつい17日に迎えたばかりの志らく師。お芝居との格闘の日々を終え、最初の高座がこの志らくのピン。疲れもあったでしょうし、ずーっと芝居漬けで落語のカンも完全に戻ってなかったのでしょうか、全体におとなしめだった(志らくさんに限らず、落語家ってお芝居の後に落語がダメダメになるケースが多いですねw)、
いちばん面白かったのは『転失気』。この噺にでてくる小僧・珍念は、志らく師の落語によく登場する丁稚・定吉そっくりなのですが、志らく師は、最後に和尚さんが珍念に謀られたと悟って「珍念!」と大声をだすところで、「定吉!」と言ってしまいましたw


8/22日(土)
夏の文左衛門大会
18:00〜20:30@池袋演芸場
開口一番 柳亭市也 『道具屋』
橘家文左衛門 『笠碁』
三遊亭白鳥 『火焔太鼓』
仲入り
ロケット団 三浦昌朗 『初天神
橘家文左衛門 『粗忽の釘
シークレットゲストとしてロケット団の三浦クンが登場した。『初天神』、笑った笑った!
三浦版『初天神』の金坊は、イタリア人の母と日本人の父の間に生まれたハーフなの。だから喋り方がちょっと『宗論』の若旦那みたいです。金坊が心うばわれる屋台も“ジェラード”“パスタ”“ピザ”とイタリアンです。団子はミツじゃなくて“チーズ”だw
おとっつぁんは甘酒を買って「これは酒だからお前は飲んじゃダメだ!おとっつぁんが飲むんだ」と飲もうとして…「…よそう、また夢になるといけねぇ」(笑)。他にも『まんじゅう怖い』『時そば』のギャグがはいってました。「なんでもアリだな!」


飴屋の「坊ちゃん、グッジョブ!」って台詞で、一之輔さんに習ったんだなって分かりました。
団子を舐めるところでは、「一之輔さん、ここあんまり教えてくんなかったんだよな」「舐め方がやらしいって言われたんだよ」って言い訳しながら団子を舐めていたw


この日は文左衛門師の『笠碁』目当てで行ったんですが、結局、この日いちばん笑ったのは三浦クンの『初天神』だったなぁ(あ、文左衛門師の『笠碁』も楽しかったですよ)。


8/24(月)
つるべ 夜のらくごのお稽古
19:00〜20:20@原宿アコスタディ
三遊亭王楽 『猫の茶碗』
笑福亭鶴瓶 『長屋の傘』
笑福亭鶴瓶 『愛宕山
鶴瓶師のこの秋のツアー(落語大秘演会 笑福亭鶴瓶 Japan Tour 2009-2010 WHITE)は落語ライブとしてあまりにも価格が高くはないか?鶴瓶噺ならともかく、鶴瓶師の落語にこれだけ払う気にはなれないわたしであります(言うてもたー)。でも、鶴瓶師の最近の古典はどんな感じなのか、聞きたいものだなぁ・・・と思っていたところに訪れた絶好の機会であった。『愛宕山』を初めて聴けたので良かった。


8/28(金)
真一文字の会
19:30〜21:30@日暮里サニーホール
『普段の袴』
『豊志賀』
仲入り
『へっつい幽霊』
『普段の袴』と『豊志賀』がネタおろし、『へっつい幽霊』は久しぶりにやったネタとのこと。
おもしろかったのは『普段の袴』。
ご隠居んちに行った八五郎が「隠居ー!いんきょー!」と呼び捨てにすれば、ご隠居も「入れ!ガラ!」(「ガラ」って「ガラっ八」のこと)。“ガラ”と呼ばれた八五郎、ぼそっと「既に原型をとどめないね」。こういう一言がいいね、一之輔さんは。
この噺もデカい声と表情・間が可笑しい。
道具屋で煙管をとりだした八五郎の、「あぁ!タバコがない!」「(火種が)おっこっちゃった!」という台詞を言う間、表情、言い方で笑わされた。


『豊志賀』を聴いて、一之輔さんは女のヒトが出てくる噺が苦手みたいだなと思った(その印象に間違いはなかったとゆーことが、後の『下北のすけえん』の一之輔さんのトークで明らかになりましたw)
豊志賀にはあまり色気がなく、豊志賀と新吉が男女の仲になるところなんかは、素っ
気無く淡々とやってた感じがする。豊志賀の新吉への気持ち(亭主のような情人のような弟のような…というやつ)を、「あたしには、そういう気持ちは分かりませんが」と断りを入れたりしていた。 お久にはもうちょっと愛嬌があったかな。一之輔さんは年上の女のヒトよりも若い女の子が好きなんでしょうねw


『へっつい幽霊』では、意表をつかれて笑っちゃったところが一箇所ありました。
熊さんがはばかりで紙を落として困ってるところへ若旦那・銀ちゃんが通りかかるところ。銀ちゃんは『タコの歌』(入船亭の人々がよく唄ってる『湖畔の宿』の替え歌)を唄いながら歩いてきたw 銀ちゃんて、入船亭の若旦那だったのか〜


8/31(月)
池袋演芸場余一会・昼の部 柳家喬太郎独演会
15:00〜17:30(くらいだっけ?)
小んぶ 『子ほめ』
喬太郎『蒟蒻問答』
中入り
小太郎 『お菊の皿
喬太郎 『双蝶々』
喬太郎師は昨日まで『斉藤幸子』の舞台に出演していて、この日の朝方まで打ち上げで飲んでいたそうです。
ということもあってか、一席目の『蒟蒻問答』は、師匠にしてはフツーであった。『双蝶々』は後半段々良くなっていった。昨日まで芝居をやっててこれだけできるのはさすがと思った。


この会の後に出演した読売GINZA落語会では、すっかりカンをとりもどしたらしく、この日聞いた喬太郎師の三席では『路地裏の伝説』が一番おもしろかったです。マクラのノリからして昼間とは違ってて、いつものハジケ感がありました。
ところで読売GINZA落語会の会場は、奇しくも師匠が昨日までお芝居に出ていたル・デアトル銀座。マクラで、高座を下りて「このあたりで踊ってたんですよ、こうやって〜」と踊ってみせた、喬太郎師。


第28回 読売GINZA落語会
18:30〜途中退出@ル・テアトル銀座
桃月庵白酒 『金明竹
瀧川鯉昇 『ちりとてちん
柳家喬太郎 『路地裏の伝説』
仲入り
※仲入りで帰っちゃったんでこの後は聴いてないけど、ネタ出しされてました
入船亭扇遊 『厩火事
立川談春 『妾馬』
顔付けのよさに惹かれてチケットを買った会であった。が、当日会場に行ったらネタ出しされていて、トリの談春師の演目を見て萎えてしまった(談春師とそのファンの方には申し訳ありません)。談春師を聴くのは久しぶりで、楽しみな気持ちもあったのだけど、「『妾馬』かぁ・・・」って。なんか、どんな『妾馬』か予想できるような気がしたのであった。あーやって、こーやって、実るほど頭をたれちゃう稲穂なのよねぇ〜、40分かかるのよねぇ〜、ひょっとするともっとかかるのよねぇ〜・・・と思ったら、ヤんなってしまった。
なので仲入りで帰りました。
扇遊師匠には本当に申し訳なかった。ごめんなさい。


9/8(火)
下北のすけえん
19:36〜22:06@シアター711
一之輔 ご挨拶的なトーク
朝六 『出来心』
一之輔 『不動坊』
中入り
一之輔 『らくだ』
千葉県出身、自称“日暮里芸人”の一之輔さんが、なうなやんぐの街・下北沢に進出とゆー記念すべき落語会の第一回(きっと第二回もある…と思う)。


二席とも良かったけど、わたしは『不動坊』が好きでした。おタキさんとの夫婦生活を妄想して浮かれる吉兵衛。「おタキさんが“がーんばれ!がーんばれ!♪”って言って、オレが“がーんばる!がーんばる!♪”って…。はばかりでしゃがんでると、おタキさんが“がーんばれ!がーんばれ!”、おれが“がーんばる!がーんばる!”」
「毎朝、切り火してもらうんだ!“カチカチ!”“カチカチ!”って。オレ、うちで仕事してて出かけねぇのに」(笑)
この後、お湯に行く道すがら、お湯屋についてからも、なにかと「ガーンバレ!」「カチカチ!」と叫び、お湯屋の主人を怖がらせる吉兵衛であった。


『らくだ』は通し。
丁の目の半次の「自分で自分のはらわた見たことあるか?」とか、月番の「こんな気持ちのいい朝に“らくだ”なんて言うな!」とか、屑屋の「なにこれ?今朝起きたときはこうじゃなかった」…等々のセリフから、文左衛門師匠に習ったのではないか?と思いました。
1時間の熱演であった。わたしは『らくだ』で途中で飽きちゃうことが多いんだけど、最後まで飽きずに聴けたので良かった。


落語も良かったけど、オープニングトークが面白かった(興味深いという意味でね)。
「はっきり言って、わたしは最近、方向に迷っています」
「女(が出てくる噺)を避けているフシがある。女は難しいですよ」
「わたしの落語は“部室落語”ですから…」
あ、やっぱり!と思ったり、へぇーそんなことを考えていたのか!と思ったり。
不似合いな下北沢で会をやったり、板につかないおしゃれメガネと私服でフリートークをしたりするのも(ごめんなさい、だってオープニングのとき、3cmくらい宙に浮いてたよw)、なんか方向を見出したいと思ってのことなんでしょう。
彦いち師に蘇民祭に行こう!と誘われたそうです(笑)。来年は、蘇民祭の顛末を喋り倒す彦いち&一之輔を観たいものです。


9/11(金)
月例三三独演
19:00〜21:30@日本橋公会堂
柳亭市江『牛褒め』
柳家三三『魂の入替』
柳家三三五貫裁き
中入り
柳家三三『牡丹灯籠 栗橋宿』
久しぶりの三三師の月例。
久々に聴いて、三三師いいなぁと思った。今日は三席とも三三師の“良さ”だけが出ていた感じ。軽さ、スマートさ(それは時として、物足りなさや深みのなさになるのですが)、女の上手さ。おみねが伴蔵の浮気を知って厭味を言うところなんかよかったなぁ。スリリングでさえあった。
栗橋宿のこの場面、志の輔師は“女のヒステリー”を面白く演じて笑わせますが、三三師は怒った女をリアルに表現していてマジで怖い。わたしは、この日の栗橋宿の中ではここがいちばんドキドキしました。
伴蔵が何を言っても、おみねは無言でつくろいものをしてて上目遣いでチラッと伴蔵を見る。「一本つけてくんねぇ」と頼む伴蔵に、落ち着いて「笹屋に行っておくにさんにお酌してもらったら」。そうやって冷静に追い詰めた挙句に「もーイヤだよ!」って爆発する。
女ってああだよなぁと、しみじみと感心して観ていました。三三師も、きっとあぁいう目にあったのでありましょうw。
それから、久しぶりの三三さんの声は気持ちいいなぁと思った。市馬師匠のような美声ではありませんが、三三さんがちょっと低めの声でヒソヒソとセリフを言ったりする時、「なになに?なんて言ったの?」と思わず身を乗り出したくなるような感じがあって、なんとゆーか声に「引力」があります(この感じは男の人にはよく分からないかもしれません)。


9/15(火)
志らくのピン
19:00〜20:59@内幸町ホール
らく次 『勘定板』
志らく 『強情灸』
 〃  『そば清』
仲入り
 〃  『唐茄子屋政談』
お芝居明けの先月とは違って、昨日は、いつも通りの志らく師匠。わたしは「ピンにハズレなし!」と思っているのですが、昨日のピンも三席とも面白かった。


個人的には『そば清』と『唐茄子屋政談』が好きでした。
『そば清』は、そば清の蕎麦の食べ方が凄まじい!汁につけるのももどかしげに、盛られた蕎麦を手づかみで食べるの。で、時々お腹にたまった空気を「ボーッ!ボーッ!」ってヘンな音をだしながら抜く。志らく師は文字通り汗を振り飛ばしながらの熱演で、もー大笑いした。この狂気は昇太・そば清を超えるか?と思ったよw
それから、志らく師のそば清は「どぉ〜も〜」のいい方が良かったわ。
最後、そば清がこっそりうわばみの胃薬を舐めるところ。そば清が蕎麦に変わっていくところを演じましたよ、志らく師。この変身シーンのある『そば清』って史上初?


『唐茄子屋政談』で印象的だったところ。
・若旦那がとっても可愛げのある、憎めない若者
・吉原田圃で若旦那が売り声を練習しながら花魁との蜜月を回想するシーン。志ん朝師匠とは方向の違う色っぽさがありました。可愛いようなくすぐったいような色っぽさ
・若旦那のおばさん(=おじさんの奥さん=婆さん)がトンチンカンで可笑しい。このおばさんを使ったくすぐり(“アジ”をやけに押してたところとか…)がおっかしかった。
誓願寺店のシーンがとってもわかりやすいというか、登場人物(おかみさん、大家)を実にティピカルに描いている。大家なんか見るからに“悪人”で笑っちゃうくらいであった。ああいう演出は志らく師らしいと思った。




…すっかり長くなっちゃいました。もう溜めるのはよそう(って夏休みの宿題か)。最後まで読んでくださった方、お疲れ様でした、ありがとう!