10日 ni 栄助落語会 第一回





5/10(土)15:00〜17:00@庚申塚・Studio FOUR
『生徒の作文』
はてなの茶碗
仲入り
『マザコン調べ・序』

※すべて栄助さん


山麓アトリエプロデュース・栄助落語会の第一回。この後、6/10と7/10に第二回、三回が開催される。会場のStudio FOURは落語会やジャズのライブをよく開催していて、このスタジオについているお客さんがたくさんいるそう。今日集まったお客さんは、そういうスタジオのお客さん、それからわたしのような栄助さん&落語好き、それから山麓アトリエ(“アトリエ”とある通り、実は鋳物を制作してる工房)のお客さんたちが主だったみたい。
栄助さんを初めて聴く人も少なくなく、今日はそんな客層を意識した演目だった。


高座にあがった栄助さんは、今日は座布団に座るのに苦労していた。左脚を痛めたのだそうです。
自分でも脚が痛い原因に思い当たらず、ビール好きの栄助さん、ついに通風が発症したか!…と恐々とした。しかし、ナゾは奥さんの「ゆうべ、夜中に“ぎゃーっ!”て叫んでたけど大丈夫?」というひとことであっさりと判明することに。
深夜、お腹がすいた飼い猫のカイくん(オス・体重6kg)が箪笥の上から寝ている栄助さんの左脚にピンポイントでダイブしたんだそうですw。
通風じゃなくて、ひとまずよかった。


Studio FOURは都電・荒川線の庚申塚の駅に近い。栄助さんのお住まいは三ノ輪だそうで、今日は“ドア to ドア”で会場に到着。普段から荒川線をよく使ってるんだって。「(荒川線は)確実に自転車に抜かされます」「散歩してる大型犬にも」w。
そんな話から、栄助さん初体験のお客さんのために、ご自分の経歴、落語家の修行生活(前座時代)等々の自己紹介的マクラ。
一席目は『生徒の作文』 “友達の誕生会によばれて、だされたご馳走にダメ出しする女の子(料理評論家の孫娘なの)・岸さん”“印象の薄い黒板消し係・薄井クン”“真性のS男子(給食係の女子のエプロン姿に興奮し、保健室のセンセイに妄想…)”“『いっぱいのおはこびで』ってタイトルの作文を書いた、さっぱりした気性の男子・コバヤシモリオくん”“不思議なものが見えてしまう委員長・江原クン”“将来の夢が大きいんだか小さいんだかよく分からない(「空を飛びたいな、飛んでコンビニまでいきたいな」って…)ヘンな男子”…。噺が終わった後、ご自分の“人となり”が分かるような噺を…と思ってやったとおっしゃっていたが、生徒達、たしかに栄助さんワールドの登場人物って感じだなぁ。


二席目ははてなの茶碗 栄助さんっぽい入れごとはほとんどなく、オーソドックスな『はてなの茶碗』でした。最近、栄助さんの新作や改作を聴くことが多かったので新鮮だった。
栄助さんは爆笑の新作の印象が強烈なのですが、わたしは栄助さんのフツーの(“フツー”っていうのもナンですが…)古典も好きです。初めて栄助さんを聴いたのは、たしか地噺の『お血脈』。地獄に閑古鳥が鳴いたままではまずい!と、ちょっとしたことで地獄行きになる人続出。「私なんか、本屋で平積みになってる本の、上から二冊目をとって買おうとしたら、地獄行きですよ」「私は、駅の階段、下りの矢印のところを昇ってった罪で地獄に落とされました」…これが妙におかしくて、このヒトもっと聴きたいなぁ!と、栄助さんが出演している番組を探しては聴きに行くようになったのだった。
はてなの茶碗』は、ストーリー・噺の世界そのものが、なんとなくとぼけてて、それでいてちょっとシニカルで、栄助さんにあってるような気がします。茶道具屋・金兵衛のおっとりした京都弁、江戸っ子の油売り・八五郎の短気でカリカリしたもの言い、丁稚どんの舌足らず、バカ殿みたいな天子さま(「朕もみたい〜ぞ〜」って…)…人物がみな個性的で楽しかった。
わたしが今まで聴いたことのある栄助さんの古典は、今日の『はてなの茶碗』、『お血脈』以外では、『花色木綿』『尼寺の怪』『佐野山』、それから前回下北沢で聴いた『野ざらし』…それくらいかな?もっといろんな古典を聴いてみたい。次回のこの会で聴けるといいなぁ。


最後は爆笑必至の『マザコン調べ・序』 なんど聴いても面白いのよー、コレ!古典『大工調べ』の改作。志ん朝師匠があまりに有名で、大工の棟梁・政五郎の小気味のいい啖呵に喝采が起こるこの落語、正しいのは政五郎・与太郎チーム、悪者は大家さん…という構図ですが、大家さんてホントに悪者でしょうか?…という鋭い問題提起(笑)の作品なのです。詳しくは、初めて聴いた時の日記をご参照ください。


第一回なのでご自身の自信作をかけた…とのことだったが、栄助さんを追いかけるファンにも、初めて栄助さんを聴くひとにも、嬉しい会だったと思います。




※会場には山麓アトリエの作品が展示されていて、今日は高座の後ろの壁には“アヤメ”をかたどった作品が飾られていた。作品は季節にあわせて変えているそうです。次回はきっと“あじさい”ですね。
打ち上げに参加させていただいたのだが、“じゅうじゅう”焼けたソーセージが、こちらで作ってる料理用の鉄板にのってでてきた。餃子とか焼き物がおいしくできそうだなぁと思いました。