立川談志独演会 12/1

12/1(土)19:00〜20:50@三鷹市公会堂
『つるつる』
仲入り
かぼちゃ屋





この前行った談志独演会は9月のかめありりりおホール。あの時の談志師匠は体調はよくなさそうだったが、ご機嫌は良かった。この日は、体の具合も気持ちも低調という感じだった。


声が出ない。しばらくライブで聴いていなかったせいか、声が一段と老いたような気がする。いつものジョーク・小噺を披露。これが30分。そうやって声の調子を整えつつ『つるつる』にはいった。


「新橋のステンショ」「インバネス」…こんな言葉も、家元が使うと自然に聞こえる。家元の『つるつる』は、旦那があんまり嫌な人じゃない。わがままを言うけど、一八をネチネチいじめたりしない。酔いつぶれて小梅との約束の時間に間に合わず嘆く一八に、旦那は「オレも一緒に謝ってやる。お前は頭を丸めて来い」と言う。この旦那のおかげで、後味の悪くない『つるつる』なのだった。さげもちょっと違う。
一八「大将、これ『つるつる』って噺でしょ?」「窓からつーっと降りてったりするンですよね?サゲは“井戸替えの夢をみました”なんてンでしょ?」
旦那「おまえが、頭を丸めて“つるつる”ってのはどうだ?」


一八が時々「わーい!」なんて大声を出した。家元は、そうやってインパクトを入れないと声がもたないのだ…と説明した。そんなこと聞くと、さみしくなっちゃうなぁ。


かぼちゃ屋 家元の与太郎は普通の与太郎じゃない、落ち着いてて賢げにも見える。『かぼちゃ屋』の与太郎もそう。…というか、この与太郎は“談志落語の与太郎”なのでしょう。かぼちゃを売って来いというおじさんに「勘弁してくれよ。おじさんだって“道具屋”で懲りたはずなのに」。かぼちゃの売りだめは“一両二分と八百”…。家元の『道具屋』『大工調べ』に出てくる与太郎がここにもいる。こういうところが楽しい。わたしはこれくらいしか気がつかなかったが、家元の落語をよく聴いてるファンだったら、もっといろんなことに気づいて楽しめるのだろうと思います。


昨夜の三鷹にいたお客さんは、昔からの家元ファン、好奇心で初めて観に来た人、いろんなお客さんがいたようだった。それぞれ感じたことはかなり違うだろうな。わたしが談志独演会の後で思うことはいつも同じだ。人が“老いる”ということ、“一生落語家でいる”ということ、それってどういうことなのか?…この夜もそんなことを考えました。