春風亭栄助独演会 そんなに肉が食いたいかっ!

11/26(月)20:00〜21:50@しもきた空間リバティ
春風亭栄助 『状況説明窃盗団』
ゲスト モロ師岡 サラリーマン落語『井戸の茶碗
春風亭栄助 『寿司屋水滸伝





動物園に行ってトラの檻の前に立つ。トラがお腹をみせて「背中がかゆいよぉ」と地面に背中をすりすりしている。お客さんはそれをみて、わぁかわいい!って喜ぶ。次に動物園に行った時。トラは、やっぱり背中すりすりしている。そしたらお客さんは、がっかりして「へっ。またやってるよ」って言いますか?言わないでしょ、やっぱりかわいいなぁって喜ぶでしょ?噺家もトラと同じなんです!「またかよ」なんて言っちゃだめ!・・・
この数日間、“ピンクレディ”みたいに忙しかった栄助さんのかわいい言い訳。『状況説明窃盗団』は前回の絹でやったし、『寿司屋水滸伝』は24日の平成噺し座「柳家喬太郎作品集」でやったばかりだし。栄助さんを追いかけてるヒトはちょっと残念だったかもしれませんが、わたしは24日は行けなかったのでここで聴けてよかったです。


シャレで出場したM−1グランプリは、残念ながら昨日の三回戦で敗退したそうだ。誰とコンビを組んだんだろう?と興味津々だったのですが、今日初めて、謎の相方が分かりました。お囃子の恩田えりさんだった(栄助さんの高座にお囃子で出てもらう…という形で出演してもらったそう)。恩田えりさんが三味線のお師匠さん、栄助さんがお稽古をつけてもらうお弟子さん(ツッコミが恩田えりさん、ボケが栄助さんだったみたい)。お師匠さんは怪しい京都弁をあやつり、栄助さんはUCLAのトレーナーに半ズボン姿で白いギターを抱えてる。小唄を70年代チックに演奏してお師匠さんに叱られる…というようなコントだったらしい。面白そう、どこかで観れるといいなぁ。


『状況説明窃盗団』 この間聴いたばかりだけど、やっぱり面白い。
“おやびん”と状況説明を命じられた見張りの会話。
「車の下に猫がもぐりこみました。三毛猫です。だから、たぶんメスですね」
「バカ野郎!三毛猫の3万分の一はオスなんだ!決めつけるな」
「わかりやした、ちょっと確かめてみます」
「あんまりしつこく追うな。しつこくするとな、“シャーーッ”ってやられるからな」
猫派らしいなぁー。


モロさんのサラリーマン落語は、屑屋・清兵衛→リサイクル屋(ちりがみ交換屋さん)、千代田朴斎→偽装商売で倒産した会社の元社長、高木→美しい日本を目指す政治家・毒島先生 という設定で改作井戸の茶碗。わたしは、どうも、モロさんの落語は苦手。途中で飽きてしまうのだ。ディティールはちょっと面白いところもあって、つまらなくはないんだけどなぁ。もうちょっと短めだったら最後まで楽しいかもしれません。


喬太郎師作『寿司屋水滸伝 洋食屋で修行した身でありながら、実家の寿司屋をついだ男。そもそも寿司嫌いの洋食好きなので、雇った寿司職人はすぐに愛想を尽かして辞めてしまう。ついに最後の一人が辞めてしまい途方にくれているところに、腕自慢の寿司職人が次々と現れ…というお話。登場人物の性格・セリフから喬太郎さんを強く感じた。寿司嫌いのくせに寿司屋をついだ男のひねくれた性格やセリフなんか、まったく喬太郎落語のキャラクターだった。「あーこれこれ!喬太郎さんだぁ〜」と思いながら観ていた。「(自分は)江戸っ子です!エ・ド・ツ・コ!エドツコですけど、何か?」喬太郎さんの顔や口調がアリアリと浮かぶ。でも、この男を栄助さんがやると、喬太郎師とはまたちょっと違う、独特の面白さのある強烈なキャラクターになるのだった。すごく面白かった。


栄助さんから「チラシが間に合わなかったので」口頭で告知がありました。
12/29 せめ達磨は古典改作の会。タイトルは「おっさんトマホーク」…だそうです。