三越落語会 〜とっておき二人会〜

11/22(木)17:45〜20:35@三越劇場
前座 『子ほめ』
 ※前座さん、お顔は何度か見てるんだが名前が思い出せない〜
柳家小三治 『小言念仏』
桂歌丸 『質屋庫』
仲入り
桂歌丸 『粗忽長屋
柳家小三治 『猫の災難』





小三治師匠の『猫の災難』が素晴らしかった。


兄貴が買ってきた酒を、最初はためらいがちに口をつけ、次第に遠慮なしにあおって酔っていく熊五郎。酔いながらも「浮かれてる場合じゃないんだよ、どうしよう?」と一生懸命言い訳を考える。どうしよう?というセリフは、もちろん熊が自分自身に言っているのだけど、まるで小三治師演ずる熊五郎の目の前にいて問いかけられているような気がする。「どうしよう?って尋ねられても…ねぇ?困ったねぇ」と笑いながら心の中でつぶやく、そのつぶやきに応えるように、小三治師が「そうだっ!こうなったらもう、しょうがねぇや!」とやおら開き直る…。小三治師と微笑みながら向き合っているような感覚。文字通り座席から身を乗り出している男性、「また呑んじゃうわよ」と思わず声に出してしまった年配の女性…。多くのお客さんが、わたしと同じ気持ちだったんじゃないかしらと思う。“演者と客席が呼応する”というのは、こういう感覚なのかなぁと思った。
涙をこぼしながら聴いてしまった。可笑しいのと、小三治師匠、凄い!という感動とで。


歌丸師匠もさすが!だった。粗忽長屋がよかった。駆け抜けるようなスピード感のある『粗忽長屋』はよく聴くが、歌丸師匠のは落ち着いたゆっくりした運びで、粗忽者二人の思い込みの強さとちょっと不気味な感じが、じわーっと伝わってくるようだった。


パンフレットには矢野誠一氏の文章が載っていた。「大袈裟でなくこの二人会にふれるのは、千載一運の場に身を置くのに等しいことと考える」という一文に大きく頷きたい気持ち。




※書きたいことは山々あれど諸般の事情で本日は短め。ご容赦。