SWAクリエイティブツアー 9/24夜

18:30〜20:30@新宿明治安田生命ホール


会場で配られたチラシの中に、SWA初公演の際に会場で配られたSWA初心表明の文章を改めて掲載したものがはさまれていた。



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…SWAも公演を始めて、おかげさまで3年目。新しいお客様も増えましたし、SWAが一人歩きをして、勝手に新ネタの会と思っている人もいるので、時々こうしてお知らせをしています。


 さて、今回のSWAですが、実はSWAを立ち上げた時からの裏テーマであり、最終目標でもあった、今まで書いてきた複数の作品を、一つの物語にするという試みです。


 物語は「たかし」という一人の男の子が成長し、還暦を迎えるまでのお話…公演が始まりましたら途中休憩はありません。SWAが産んだ「たかし」の成長を見守ってください。

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(上記はチラシより抜粋した初心表明文に続く文章)


今回は珍しくオープニングトークの時間があって、4号師匠がチラシの意図を補足。前回のSWAのアンケートの中に「これだけ人数がいるのに、どうして古典をやる人が一人もいないのですか?」と書かれたものがあったそうで、4号師匠「そこからか?!と思いました、『そこから説明しなくちゃいけないのか?!』と」。お察しします。


今回は下記の4作を「明日の朝焼け」という連作タイトルで上演した。


2号 「恋するヘビ女」
4号 「夫婦に乾杯」
1号 「臼おやじ」
6号 「明日に架ける橋」



バラバラにできた四つの作品をつなげるために、それぞれの作品には若干アレンジが加えられている。


「恋するヘビ女」 卒業式前夜、11歳のたかしクンは、巳年生まれの42歳・独身・ヘビ柄好きの恋多きおばさんに“恋の方程式”を伝授される。たかしクン、屋上で一人淋しげに「夜明けのスキャット」を口ずさむ同級生のまゆみチャンにおばさんに教わったノウハウを駆使して想いを伝えようとするのだが、まゆみチャンは東京から転校してきたたつやクンが好きだと言う。そこでたかしクン、おばさん直伝の恋の方程式をまゆみチャンに教えるのだが…。2号の小ネタを一つ。“機動戦士チャールズ・ブロンソン「う〜んガンダム」”


「夫婦に乾杯」 20代になったたかしクン。結婚7年目にして、奥さんとはいまだに「ゆみちゃん」「たーくん」と呼び合うラブラブ状態。勤務先が扱っている商品(カップ酒におつまみがついてて、おじさんに売れ行きがいい)のネーミング会議の席で、部長から「結婚して7年もたってそんなに仲がいいのはおかしい!」と指摘される。帰宅したたかしクン、いつものお出迎え(ゆみちゃん、玄関まで小走りできてたかしクンのくびったまにかじりつく)を受けながら「…言われてみると、おかしいかも」と不安になる。今までなんの不満もなかったゆみちゃんが、なんだかあんまり可愛くないようにも見えてきてしまって…。
ネーミング会議で、夫婦は冷えるもの!おやじは家庭で冷遇されるもの!と吐き捨てるように言う部長が面白い。「おやじは家庭の隅っこに弱々しく生えてる雑草なんだよ、抜いても抜いても根が残ってて生えてくるから、おくさんに嫌われるんだよ!」。カップ酒におつまみがついてる商品は、家庭で奥さんやこどもに疎まれているおじさんが、自分で買って帰って、リビングの隅っこでひとりちびちび呑むための商品…というわけで“隅っこ酒”と命名され、この後の噺にも登場する。


「臼おやじ」 たかしクン、45歳(もはや“クン”ではないな)。リストラ候補になって憂鬱な毎日。奥さんに優しくしてほしいのだが、可愛かったゆみちゃんも隣に住む変人に渋柿を投げつけられたりして、ストレスでイライラしている。言い争いの果てに「あなたに渋柿を投げつけられる気持ちが分かるのッ?!」と家を出て行ってしまう。残されたたかしは、リビングの柱の節穴から光が漏れているのに気づく。覗き込むとその穴に吸い込まれ、気がつくとそこはサルカニ合戦の世界。猿に母親ガニを殺された子ガニが「助けてくれ」とせがむ。周りには、クリ、ハチ、牛の糞がいて、気がつくと自分の体が臼になっている…。落語界初“臼の仕草”を拝見した。ところで牛の糞、実はヘビ女おばさん。


「明日に架ける橋」 この作品には、もともと“たかし”という名前の主人公の息子が登場するので、ここでは、主人公が「たかし」、息子が「こたかし」という名前になっている。「こたかし」という情けない名前は、若い頃から「ネーミング下手」と評判だった父親(たかし)に命名されたという説明。若い頃は優しかったたかしだが、いつの頃からか頑固になった。奥さん(ゆみちゃん)「お父さんたら『臼になってから、俺は変わったんだ!』とか、わけの分からないことばっーかり言って」。連休にSWAに行くというこたかしに、頑固なたかしは「落語なら古典にしろ!市馬・談春・三三に行け、紀伊國屋だっ!」。会社酒場には製造中止になった隅っこ酒がおかれていた。しかし、賞味期限が切れていて、たかしが飲んでみると酢になっていた。一夜明けて吾妻橋から朝日に光る隅田川を見るたかし。そこに、妻にともなわれ、年老いてバージニアスリムみたいな細長い煙管をもつ手がぶるぶる震えるヘビ女おばさんが登場…。




ご苦労も多いと思うが、昇太師初めメンバーの皆様、どうかこれからもSWAを続けていって欲しい。