市馬・喬太郎 ふたりのビックショー

18:50〜21:40@練馬文化センター小ホール
柳亭市朗 「子ほめ」
寒空はだか 漫談
柳亭市馬 「お化け長屋(上)」
休憩
馬夫(市馬)・豚夫(喬太郎) 歌謡漫才
昔々亭桃太郎 漫談
柳家喬太郎 「彫り師マリリン」





3時間弱。ビックというよりロング。でも、時間を感じさせない楽しさ。

市朗クン「市馬落語集」で毎回市馬師匠からダメ出しされていたのは春の頃だったろうか。あの頃よりは、上手になったよー(しみじみー)。


はだかさん 舟木一夫、唄うは『銭形平次』(♪チョコレートはへいじ)…から始まって、『心に森本レオを持て』『落研ハイスクールロックンロール』(これらは先月の「喬太郎アナザーサイド」でも唄ってた)等々お馴染みのナンバー。しかし、今日はなんといっても、いとし・こいしのモノマネでやった皇族漫談がサイコーでした。はだかさんのいとし・こいし、ソックリ!なつかしー。いとし・こいしのモノマネは太平サブロー・シローも上手かったなぁ、久々に見たいと思った。


市馬師 マクラは、小さん・正蔵・馬生(すべて先代)の思い出。正蔵師匠十八番の怪談の話から『お化け長屋』へ。『お化け長屋』は4月の「市馬落語集」以来。あの時も面白かったけど、今日はもーっと面白かった気がする。空いてる貸店を借りに訪ねてくる二人目の男(気が強いほう)が可笑しい、杢兵衛を“後家さんの気をひこうとして水なんか汲んでやったに違いない”と決め付けて「おめえは“汲み顔”だよ」と言ってみたり、泥棒がかいまきをめくって後家さんの襟元に手を伸ばし…というくだりを聞いて、興奮して「おっぱいを触ったなぁー!ふごぉー」と鼻を鳴らしてみたり、「遠寺の鐘が(陰にこもって、ごぉ〜ん)…」と言いかける杢兵衛をさえぎって「カーネが鳴ります、キン・コン・カン♪」と『鐘の鳴る丘』を唄ってみたり…。市馬師匠ノッてたなぁ(この後の漫談で「『お化け長屋』の中に“カネが鳴ります♪”を何のてらいもなく入れられるようになった自分がおそろしい」とおっしゃっていました)。


市馬・喬太郎の歌謡漫談 市馬師はタキシード、喬太郎師はスーツ。市馬師匠、意外にタキシードがお似合い。木久扇・木久蔵W襲名パーティーの話から、台風一過をネタに漫才。
喬太郎師「台風一家です、お父さんの名前が○○、お母さんが○○、娘の名前がキャサリン…」
市馬師「欧米か!」
喬太郎師「この一家のお父さんが小言ばっかり言ってまして…」
市馬師「幸兵衛か!」
柳家の名に恥じない二人の、この壊れっぷり。
そして西武池袋線「池袋」から「練馬」までの各駅にちなんだ歌を市馬師が歌いまくる。椎名町『りんごの唄』(椎名りんごでむりくり…)、東長崎『長崎の鐘』、江古田は岡晴男を唄って最後にエコーをきかせて“えこーだ”、桜台『同期の桜』…。落語が終わったんで、ものすごくのびのびと楽しそうだった市馬師。


桃太郎師 二人の漫談を「あんなことは昔は芸術協会がやったもんですよ」、(漫談がたっぷりだったので)「オレの時間15分しかないんだよ」とぼやいてみせて、ゆるく可笑しい漫談(柳昇物語をちょっぴり)。


喬太郎 登場するなり「もういいでしょ?」(ここまでで相当充実してるからなー)。マクラはお酒、タバコときてキャバクラの話になったから、『夜の慣用句』かな?と思ったら『彫り師マリリン』。これは久々のネタかな。
天然系キャバクラ嬢マリエちゃん(このキャラクターは石原マリエにインスパイアされたりしてるんでしょうか?)、ある晩、店に客としてやってきた彫り師“彫コマ”に弟子入りを願い出る。彫コマが試しにプラ消しと彫刻刀を渡し、好きなものを彫らせてみると、見事な唐獅子牡丹を彫り上げるマリエ。才能を認められ、マリエは弟子入りを許される。2年後、師匠に許されて、彼女が組関係の若い衆タツの背中に彫った初めての作品は“ケロロ軍曹”…というようなお話。マリエのいわゆるDQNな喋り方に、ムズムズ・イライラさせられます(ここが喬太郎さんらしい)。一方、彫コマは職人らしい喋り方で、最後のほうでは彼に似た組長なんかが登場する。喬太郎さん、登場人物のセリフをかりて「こんな噺のわりには、演じ分けが大変なんだ」とつぶやく。


市馬師&喬太郎師、お二人ともたっぷりだったし、ゲストも好きな人たちで、満足。