第469回 落語研究会

18:30〜21:15@国立劇場 小劇場
春風亭栄助 「尼寺の怪」
隅田川馬石 「締め込み」
立川談春 「鰻の幇間
仲入り
古今亭志ん輔 「唐茄子屋政談」







「尼寺の怪」栄助さん、本日の第一声「永遠の扶養家族、春風亭栄助です」。
熊公から百物語のための怖い体験談をせがまれて、その昔、尼寺に一夜の宿を乞うた話をする和尚、
「…本堂に泊めてもらうことになったのじゃ」
「それはほんどうによかった」
「先を急ぐぞ」
こういう流し方、淡白でほのぼのと可笑しい。


「締め込み」は馬石さんの得意ネタだそう。すごーく面白かったというわけではないけど、上手と思った、楽しく聴いた。


談春師の「鰻の幇間は、普通の(今まで聞いたことのある)「鰻の幇間」とはちょっと違った。やっぱり家元式なのかな?
ともかく、幇間が旦那になりすました男に騙されて勘定をおっかぶせられたと分かった後からが俄然可笑しくなる。騙された幇間は、やり場のない悔しさを「この店はなってない!」と鰻屋の小おんなへぶつけるわけだが、説教魔と化して、その説教の小意地の悪さ、しつこさ、鋭さが、あぁ談春さんが言いそうなことだなぁという感じで、いかにも“らしい”。師は客が期待する談春キャラをちゃあんと演じるのであった。
それにしても、その鰻屋っていうのが、ほんとにヤな店で爆笑した。
鉄拳のコント「こんな鰻屋はイヤだ!」風にその特徴をあげると…
鰻屋なのに、つきだしのお新香にキムチが出てくるー
 しかも自家製で瓶でつけてるー
 小おんなは瓶のキムチをかきまわすので、ツメが赤く染まってるー
・冷酒を呑んだら、シャリって凍ってるー
・鰻が竹みたいに伸びるー
・床の間に「にんげんだもの」って相田みつをの掛け軸がかかってるー
幇間はそれらをことごとく「おかしいだろ?!」と突っ込み倒すのであった。あー笑った、笑った。


始まる前、うしろの席のお客さんが「志ん輔は志ん朝にどんどん似てくるなぁ」と話していたのを小耳にはさんだもので、これが志ん朝風なのかなぁと思いながら聴いた「唐茄子屋政談」。吉原田圃で、時々思い出したように「とうなす〜」と売り声をあげながら、花魁との蜜月を回想するシーンがとても綺麗で、ちょっとうっとりした。