7/5 立川流同期会

談春 「棒鱈」
志らく 「たまや 〜天国から来たチャンピオン〜」
中入り
鼎談
文都 「千両みかん」

出演のお三方は、かつて国立演芸場で揃って二つ目昇進披露をしたそう(…厳密に言うと、当時はもうお一方いらして、四人一緒にやったそう)で、だから“同期”。一緒に会をやるのは約20年ぶりとのことでした。
落語より鼎談のセッション(三人が前座・二つ目当時のエピソードを紹介…というかおふざけで暴露?しあった)が印象的だった。

家元はかつて戸塚宏氏と懇意にしており、某噺家戸塚ヨットスクールの訓練に参加させたことがあった。で、その某噺家のつきそいとして、同期の彼らが代わる代わる戸塚ヨットスクールに派遣されたということがあったのだそうです。その際の三人の対応というのが、見事にそれぞれの“人物”を象徴していて面白かった。
談春師はヨットの訓練をフケて付近の競艇場で遊んでいた。
志らく師は、「こんなことをするために噺家になったんじゃないから」と“父親が倒れた”とウソをついて一回も訓練に出ることなく戻ってきた。
で、文都師は、志らく師が早々と戻ってきたおかげで、既に付き添いのおつとめは果たしていたのだが、再びヨットスクールに戻るハメになった。家元の命令だから「誰かが行かなあかんやろ」と、死にそうな目にあいながら訓練をうけていた(いい人だなぁ)。

トリの準備のために文都さんが一足先に退場。その後の志らくさんと談春さんのやりとりも面白かった。談春さんが、最近の志らくさんの芝居活動などにふれるとみせて、例によって饒舌に落語を語ろうとした(…のではないか?あの流れは…)とたん、志らくさんが「ちょっといいですか」と遮り「うるせーよ!」と一喝。もちろんお約束なのだけど、半分くらいは本気でうるさがってるように見えて可笑しかった。

自分は別に噺家の人柄とか性格を分析したいわけではなく、笑えるとか、面白いとか、感心するとか、心を打たれるとか、まぁ、そんなことを求めているわけですが、それでも結局、落語だろうとただのトークだろうと、その人がどんな人か?ってことが見えるものに一番反応するみたいだ。昨夜は、そういう意味ではとっても楽しめた会だった。

噺のことも少しだけ。
談春師の「棒鱈」田舎侍がワケのわかんない歌を唄っては「…となっ!」ってしめるのが可笑しかった。侍の言うことが分からず対応に窮した芸者が「…勉強になるだろ?」って後輩の芸者を振り返ったりするのも。

志らく師の「たまや 〜天国からきたチャンピオン〜」は、初めて聴いたのだけど、昨夜はこれを聴けてよかったと思った。主人公の花火職人(名前忘れた)がいいヤツで、おたまちゃんが可憐で、清々しく可愛い噺。花火職人は「あぅあぅあぅぅっ!」と鼻をこすりあげるという、イカれたクセがあるのだけど、これが可笑しい。でも、このクセはただのギャグじゃないのです。面白さとホロリが、自分にとってはちょうどいいバランスで、とても好きだと思った。

文都師の「千両みかん」愛すべき人柄そのままのほのぼのとした可笑しさがありました。番頭が、文都師自身みたいに思えた。