橘蓮二写真集「高座」出版記念の会

12:00〜15:15@国立劇場小劇場
柳家三三 「悋気の独楽
林家彦いち 「熱血怪談部」
柳貴家小雪 太神楽
立川談春 「文違い」
仲入り
林家二楽 紙切り
立川志の輔 「抜け雀」






橘氏の写真集「高座」がお土産につくこの会。帰宅して、早速目を通しました。何の噺をやってるのか、いつ・どこで撮ったのか、自分にもいくつか分かるものがあって嬉しかった(例えば、鶴瓶師なんかは分かりやすいです、青木先生が黒板に向かっているところだと思う、「ノオトをとりなさい。…カァーッ」ってセリフが聴こえてきそうだー)。
写真の中の噺家はこのまま動きだしそう、拍手が聴こえ、あの時の空気まで思い出せそう…
そういう橘氏の写真や橘氏自身を、今日の出演者はいろいろな言い方で紹介、褒めたたえていたけれど、特に(というか、やっぱりというか)志の輔師がさすがでした。
「携帯でムービーなんかがとれてしまうこのデジタルの時代にあって、時に動かない写真のほうが、より饒舌に躍動感を伝える」というマクラから『抜け雀』。
この会ではどんな噺をやるのかなぁ?と考えて全然予想できなかったのですが、はぁーそうきたかー!と思った。名人の絵。橘氏の写真。どちらも動き出す命が宿る。



もちろん噺も最高に面白かった。宿屋の主人のボケッぷりが最高。絵師との会話。
絵師「わしは、絵師じゃ」
主人「(膝から下を指して)…壊死?」
絵師「違ーう!!どうしたらそんな誤解ができるのだ、狩野派の絵師じゃ」
主人「化膿して壊死?」
とかとか素敵に下らないギャグはあるわ、衝立から雀が飛び立って戻ってくるまでの一部始終を「ちゅんちゅんちゅん…」と身振り手振りで伝えるアクションシーンはあるわ(『抜け雀』のこの場面のアクションは、今まで観た中では昇太さんのが一番凄かったが、今日の志の輔師も相当凄かった)、大笑いしてしまった。



むろん熱演は志の輔師だけじゃなく、他の出演者も素晴らしかったです。あえて細かいことを言えば、談春師の「文違い」は先月の白談春で聴いたばかりという印象はあったし、彦いち師の「熱血怪談部」もわりと頻度多く聴く噺ではあった。
でも、談春師の「文違い」は、今日もやっぱり「あぁ切ないなぁ」と思ったし、彦いち師の「熱血怪談部」は、のっぺらぼうにパーンチ!の間が絶妙で大笑いしたし、どっちも「今日もやっぱり面白かった!」と思えた。人気の顔ぶれをたっぷり3時間。大満足の会でありました。





※写真集なんですけど、昇太さんのページがたっぷりです(個人的には非常に嬉しい)。
私が一番好きなのは高座に向かう前の昇太さんの後姿(袴姿)をとらえた1枚。昇太さんの後姿からは静かな闘志がオーラのように出ている気がします。