立川談笑独演会 銀座夜話 其の2

19:00〜20:55@博品館劇場

談笑 「看板のピン」
談春 「鮫講釈」?「桑名舟」?
仲入り
談笑 「ねずみ穴(改)」


談笑さんの独演会に初めて行った。まだ落語を聴きはじめて間もない頃に、下ネタ満載の落語を聴いたもので、談笑さんの独演会ってあーゆーのが延々と続くのだろうか、それだとちょっとやだなと行くのを躊躇していたのだが、今回は談春さんもついてくるので行ってみるべか…と足を運んだ次第です。


ゲスト談春さんのは「鮫講釈」(か「桑名舟」かどっちか)。談春さんは、たぶんサラッとやったのだと思うけど、いろんな噺をくっつけて延々と続く講談調の部分(談春さんは“総合講談”って言っていた)は、よどみなくて聴いているととても気持ちがいい。こういう風に語れるなら、古典の音読なんていうのをやってみたいという気持ちになる。なにしろ噛まないのね(狼の昇太&山陽とは大違い)、すげーなーと思って聴いていた。あの噺は、講談を知っている人ならもっと楽しいのだろうなぁ。


そして談笑さんの「ねずみ穴」。普通の「ねずみ穴」ではなく、登場人物は福建省から出てきた兄弟になっていて、弟が借りたお金は30円。浮浪者に混じってのアルミ缶収集から始めて、中華料理の屋台をやり、やがてパソコンを買ってアパートの一室でプロバイダー事業に着手し…というストーリー。キーワードは、中国のコンピューターウイルス「孫悟空」です(うふふ)。
私は弟がお金を三文…じゃなく30円借りたあたりで、ようやく「あぁ『ねずみ穴』ってこの噺か」と思い出したくらいなので、他の人のねずみ穴と比較できないのだけど、前に聴いた時は、嫌な噺だ、なんでこれが人情噺なんだろう?と思ったのだが、今日はあんまり嫌な感じはしなくて面白かった。どうしてかな?と考えたのだけど、中国人兄弟というところがミソだったのかもしれない。日本人のしかも田舎の人のお金を貸す貸さないというやりとりは生々し過ぎるのかな?談笑さんのお話によると、森繁とフランキー堺の映画で、二人が中国人に扮して延々と「○○したあるよ」的な怪しい中国語をしゃべっている…という映画があるそうだ。それが印象的でああいうのをやりたいと思っていたことと、あの兄弟が田舎者というのが納得がいかないということで、兄弟を中国人にしたらしいです。落語を聴きに来たのに…と不満な人は談春兄さんの噺を思い出してくださいだとか、「ねずみ穴」はあくまでも「改」ですからとか、しきりに繰り返していらしたが、面白かったし行ってよかった。
でも、自分の場合は、談笑さんを聴く前にもっと普通の古典落語を聴いたほうがいいみたいです(…普通の古典落語って何?ってのもあるのだけど)。そうしたほうが、もっと面白く聴けるのだろうな、談笑さんは。