立川談志独演会

19:00〜21:10(くらい?)@横浜にぎわい座

・「千早振る」
仲入り
・「よかちょろ」
・オマケ 

 →なんて書いたらいいのか。わざわざ釈台を持ってこさせてやったエッチ語満載の講談調のおはなし。


幕が上がると、めくりは「立川談志」。最初は前座…と踏んでトイレに行こうとしていた客が慌てて戻ってくる。出囃子が繰り返されるけど、家元はなかなか出てこない。客席がしーんとなる。この緊張感はなんでしょう?落語聴きにきてる人々と思えない。自分もそうなのだけど。異様だ。それがもう可笑しくてしょうがない。


家元登場。左の耳がガンガンしてよく聴こえないのだと不調を訴え、亡くなったノックさんをあんなおかしなヤツはいなかったと讃え、そうやって噺に入る体勢を整えタイミングを伺っているのだと言い訳し、「この後、世にも難しい噺をやる」。そんなこんなで30分くらい経った頃、「千早振る」が始まりました。


立川談志というヒトは、自分自身が言うセリフや噺の運びに触発されて、頭の中にいろんなことがめまぐるしく浮かび、それをものすごい速さで取捨選択して、ぽんぽんッ!と(アドリブとして)吐いているみたいだ。「みたいだ」というのは、自分は今まで数えるほどしか家元の高座を観てないのでよく分からないからです。でも、今日の「千早振る」を観て、そうにちがいないと思った。今日はもう、時間が経つにつれ、家元の頭フル回転状態が調子よく加速していくのが分かって、観ていて気持ちよかった。何か言ってはわき道に逸れ、逸れては噺の本筋に戻り、そのゆらゆらが極めて自然でわざとらしくない。その場その場で思いついたことをフッと口にして、それがことごとく当たる。次はどう来る?期待でワクワクする。そんなことが計算で出来るものじゃない!…そういう『千早振る」でした。


最初にこの噺を「難しい」と言ったのは、落語好きなら知ってて当然で、知ってしまえばそう面白くもないこの噺を面白く聴かせるために、こんなアドリブ満載のやり方をしていて、でも、それが成功するのがいかに“難しい”か!ということなのだろうと思った。でも、家元を聴きに来る人は皆、それを期待してるんだよね。その期待が膨らみすぎて、始まる前にあんなに緊張するんですよねぇ。


それでも、家元の「千早振る」は初めて観たので、これがいつもの「千早振る」なのか、そうじゃないのか分からないから、今日の「千早振る」は良かった!ということに、確信がもてなかった。で、帰りに落語通のマイミクさんと一緒になったのを幸いに、今日のがいつもの「千早振る」なのかそうじゃないのかお尋ねしたのだが、今日のは、その方も「ああいう『千早振る』は初めて見ました」(やっぱりー!)という、大成功の「千早振る」だったみたいだ。
わー、いいもの観た!ヤフオクで大枚はたいてチケット手に入れただけのかいはありました。こういうのが観たいから、バカ高くてもチケット取ろう!と思うのであります。ひじょーに満足であります!


ところで、今日の談志版「千早振る」を楽しめたのは、2年位前に聴いた小三治師匠のおかげです。少しは知ってる噺も増えて、多少いろんな噺家を聴いて比較ができるようになると、落語はますます面白いですねぇ。当分、このまま落語漬けだなぁと思った。


※どうでもいいオマケ情報
今日は「す」列(かなり後方)に座ったのだが、同じ列にホリイさんがいた。珍しい!いつも前に居るのに。何故?