第十六回 志らく百席

19:00〜21:00@横浜にぎわい座

志らべ 「持参金」
志らく 「火焔太鼓」
志らく 「粗忽長屋
仲入り
名言365
志らく 「子別れ」

周りの人が「いい」とか「面白い」とか言う噺家は一通り聴いておかなくっちゃねと思う、素直な落語ビギナーの私です。そういう意味で、志らくさんは、面白いのか面白くないのかよく分からないんだけど、一応聴いておこうか…とゆー感じで時々観にいくヒトです。

志らくさんは、噺の本筋にあまり関係のないところで、個性的なくすぐりを畳み掛けるように入れますね?自分にとっては、それがハマる時とまったくピンと来ない時があるのでした。ピンと来ない時というのは、ギャグそのものがそんなに面白いと思えない場合もあるし、「ま、分かるけどさ、しつこくね?そこはさーっと行こうよ」みたいな気持ちになる場合もあります。そういう時は、あのスピード感と軽さで噺の上っ面だけなぞっているように思えて、それであんまり面白いと感じないみたいなのです、どうやら。

でも、今日のネタは志らくさんのお得意ばかりだったらしく、どれも楽しかったです。
特に「子別れ」が良かった。父子再会の場面で、鰻やの二階で、交わされる親子&夫婦の涙ホロリの会話を、なぜか脇で聞いてて「いいハナシですなぁー」と涙する“八百屋”というのが度々出てくるのだけど、これが登場するタイミングが絶妙!そのたびに、なんで他人のお前が聞いてるんだよ!と憤然とする熊の「やおやー!」というセリフが可笑しい。こういう軽い洒落っ気のあるシーンが志らくさんらしいのかなと思いました。
小さく可笑しいところはいっぱいあるのですが、例えば「火焔太鼓」の女房が、亭主が仕入れてきた太鼓を、そんなものはいつまでたっても売れやしない、売れ残るに決まってると貶すところ。「50年経って、100年経って、ここらの町もなくなって、だーれもいなくなっちゃって、牛の頭蓋骨が風にカタカタカタ…と鳴ってて、そうなってもここにあるね!この太鼓は。」こういうのは好きです。
それから「粗忽長屋」。噺の最初のほうに、長屋の自分の家に今朝、犬が来て…というところがありますね、あそこんところ。「あいつがぬぅっとやって来たのよ」「え?岡本信人?」。ククッ!ぬーっと登場するといえば岡本信人だよね。
こういうところが、志らく好きな人にはたまらないのかなぁ。



「子別れ」と言えば、去年の新橋演舞場「談志・志の輔夢一夜」で観た家元のが好きです(あれは、たぶんそんなにいい出来ではなかったのだと思うけど)。
父親・熊から50銭をもらい「鉛筆を買っていい?」と尋ねる亀吉。熊に「色鉛筆だって買えるさ」と言われ…
「色鉛筆?…あぁ、いいなぁ色鉛筆!
青い色鉛筆買っていいかい?海が描きたいんだ」
わー!なんて叙情的ー!と思いました。あの家元の「子別れ」(ちゃんとしたバージョン)をもう一回聴きたいなぁ。