柳家紫文 みたかdeきいたか

三鷹 文鳥舎 17:00〜19:00くらい


日本の歌舞音曲の素養がない。まったく。
出囃子を聴いても、何を使ってるかとか、全然わからない。
落語のなかには「新内」「常盤津」「清元」なんてのが時々出てくるが、それらの違いもよく分からない。
でも、習うより慣れろというから、色々聴いてるうちにちょっとは分かるようになるかも、ちょっと分かればお勉強する気にもなるんじゃないかしら、と淡い期待を抱いている。
紫文さんの会なら、この体たらくの私でも楽しめそうな気がしたので、行ってまいりました。


最初は紫文さんのお弟子さん、小梅さん・小糸さん・小寿々さんのトリオ「東京ガールズ」。三人とも器量よしだから、「かしまし娘」や「ちゃっきり娘」よりずーっと華やかです(…歌江姉ちゃんとかと比べられても、あんまし嬉しくないかもしれないが、当人達は)。
「梅は咲いたか」など季節の端唄のあと、『さのさ』(♪あんな男の一人や二人 欲しくばあげましょ 熨斗つけて…ってやつ)、『東雲節』(♪〜さりとは辛いね てなことおっしゃいましたかね…ってやつ)の替え歌など、聞き覚えのある唄が続いて嬉しかった。
子供の頃、じいさんばあさんに付き合わされて観てた演芸番組とか歌謡番組で耳にしていたのかもしれません。
『品川甚句』という俗曲が好きと思いました。
この曲、小梅さんが芸者役で出演した映画「長州ファイブ」のお座敷シーンで流れるのだそうです。小窓を開けると品川沖に「鴨八百羽 小鴨が八百羽 入船八百艘 荷船が八百艘…」が見えるっていうような、おめでたい歌詞なんですが、調子がよくて、聞いてるだけでにぎやかなお座敷に居るような気分になれる楽しい唄。


そういえば、東京ではボーイズは結構見るけど、女性の音曲漫談トリオってあんまり見ませんね。「だるま食堂」は三味線弾かないし、「姉様キングス」はやや異色のコンビだし。東京ガールズには、是非もっと寄席で活躍して欲しいです。


紫文さん登場。最初はジンのロックで喉を潤しつつ三味線の調子を合わせつつ、もっぱらトーク
紫文さんは近々都都逸の本を上梓するそうで、今日は「こんな都都逸があります」と色々紹介してくださった。都都逸って艶っぽいシーンをうたったものが多いみたいだが、それを三味線にのせて素っ気無く唄うからいいように思います(話はそれるが、浜田真理子ってそういうセンスの人のような気がする。彼女のラブソングは詞だけ読むとちょっとひくくらいウェットなのですが、唄うとちょうどいい感じ)。


その後、大岡越前ネタ、長谷川平蔵ネタ、呑気節(♪はは呑気だねー…)の替え歌と続いた。大岡越前長谷川平蔵は、寄席では聴けないネタをやってくださった。
紫文さんのネタは文字だけ読んでもあんまり面白くないけど、一つだけ長谷川平蔵新ネタを紹介しますと…
(例によって橋の上のシーン)
一日のアルバイトを終えたであろうセブンイレブンの店員が、女とすれ違う。すると、すれ違いざま、セブンイレブンの店員が前のめりに倒れる。
お姐さん「あら、セブンイレブン屋さん、怪我はない、大丈夫?」
セブンイレブン店員「アイテテ!よかったー」
「寄席にかける勇気がない」とおっしゃってましたが、このくらいしょーもないの、けっこう好き。


最後は、東京ガールズと一緒に三味線と唄。ステージが狭いので、紫文さんは客席で三味線を弾いた。長唄京鹿子娘道成寺』を「ちゃんとやると1時間くらいかかりますので、軽く3分くらい…」披露してくださいました。


この後打ち上げがあって、ここ文鳥舎はお料理がおいしいと聞いていたので出たかったのですが、風邪かも?という体調だったので、残念だけどまっすぐ帰って来ました。